旅の醍醐味は、美しい風景やその土地の文化を知ることだけでなく、そこで暮らす人々との出会いにあるのかもしれません。ストックホルム滞在5日目、思いがけず出会った現地の人たちとの心温まる交流のひとときのエピソードをお届けします。

カフェでの出会い No.1
最初の出会いは、ロングホルメン島でのカフェ。ランチをいただいていると、にこやかに声をかけてきてくれたのは、ご夫婦とその友人の3人組でした。奥さまは以前日本を旅したことがあるそうで、鹿児島の砂風呂に入った一人旅の思い出を楽しそうに話してくれました。次に日本を訪れるときは、ご主人も一緒に行きたいとのこと。ストックホルムのアーキペラゴ(群島)の美しさについても語ってくれました。(次回のために現地の人ならではのおススメのアーキペラゴを尋ねたらよかった・・)
会話の中で特に印象的だったのは、スウェーデンの言語環境の話。小学校3年生から英語は必須科目で、テレビ番組や日常生活でも英語がスウェーデン語と同じく自然に聞こえてくる環境にいるため、子どもから年配の方まで誰もがバイリンガルであること。異文化と共に生きることが当たり前のように根付いている姿に、国をあげての言語環境の大切さを感じました。
ひとり旅だと、なかなか自分自身の写真がないものですが、この時、「写真撮ってあげるよ」の嬉しいお申し出。カフェでのランチタイムを撮っていただきました。

カフェでの出会い No.2
同じカフェで、もうひとつ心に残る出会いがありました。3人組が帰った後、隣の席に座ったのは近所に住むおじいちゃま。1人のんびりとフィーカを楽しんでいらっしゃる様子に誘われて、少しおしゃべりをしました。冬の過ごし方について尋ねると、「湖が凍ったら穴を開けて魚を釣るんだよ」と笑顔で答えてくれ、他にもスケートやスキー、サウナや焚き火など、スウェーデンの長くて暗い冬の寒さを楽しみに変える暮らしぶりを教えてくれました。
同じく普段使用する言語の話も。家族や友人との日常生活での会話はスウェーデン語、でももし一人でもスウェーデン語を話せない人が場にいれば、自然に英語に切り替えるとのこと。国民全員がバイリンガルであることと、その柔軟な言語環境に感動しました。
公園のベンチでの出会い

そしてこの日の終わりに、もうひとつの心に残る出会いが。ストックホルムでの滞在中ずっと宿泊していたアパートメントホテル近所の公園を散策していた時のことです。緑豊かな公園のベンチに座ってひと息ついていると、犬の散歩をしていたおばあちゃまが隣に腰を下ろしました。90歳ほどに見えましたが、なんと2週間前に心臓発作から奇跡的に生還されたばかりだそう。きっと日々の相棒である犬に話しかけている様子がかわいらしいおばあちゃま。近くの1916年建造の歴史あるベルタワーのことを紹介してくれたり、「ストックホルムを観光するなら運河の橋巡りのボートツアーがおすすめよ」と旅のアドバイスまで。別れ際に「お元気で」と心から願わずにいられませんでした。



ストックホルムでのこれらの出会いは、偶然のようで必然だったのかもしれません。どの方も穏やかで温かく、自然体で声をかけてくださいました。私自身も旅の5日目で気持ち的にもゆったりしていたので、話しかけやすかったのかもしれません。忙しない観光地から離れていたこともよかったのかも。その土地らしい風景の美しさ、空気感とともに、人との触れ合いが旅をより豊かにしてくれることを改めて実感しました。今でも思い出す度に温かい気持ちになる出会いのある一日でした。

こんな出会いがあるから、ますます旅はやめられない♪
Have a nice trip ❢