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フィンランド ヘルシンキ大聖堂とウスペンスキー寺院を巡って感じる歴史と美 北欧2週間旅

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昨年に続き、2度目のヘルシンキ。前回は雪化粧の冬景色、今回は夏の青空の下。
季節ごとに異なる表情を見せる街で、ヘルシンキを象徴する2つの大聖堂――ヘルシンキ大聖堂とウスペンスキー寺院――を訪ねました。

2つの大聖堂 ヘルシンキ大聖堂とウスペンスキー寺院

トラムでも徒歩でも、毎日のように2つの大聖堂の前を通りながら過ごした5日間。
いつ見ても、何度見ても美しいです。

ヘルシンキ大聖堂とウスペンスキー寺院は、西方キリスト教と東方正教の象徴的な対比を成しています。ヘルシンキ大聖堂が「西欧・スウェーデン文化の影響」を象徴しているのに対し、ウスペンスキー寺院は「東方・ロシア文化の影響」を色濃く残しています。そのため、ヘルシンキの宗教建築を西洋・東方の両面から楽しむことができます。

互いにわずか徒歩10分ほどの距離にありながら、二つの建物はまるで異なる世界を見せてくれます。白と赤、プロテスタントと正教、簡素と装飾・・・この対照こそが、長い歴史の中で東西の文化が交差してきたヘルシンキならではのものと言えるのでは。

ヘルシンキ大聖堂(Helsingin tuomiokirkko / Helsinki Cathedral)

ヘルシンキのシンボルと言えば、この大聖堂。フィンランドの首都を象徴する建築で、白亜の壁と緑のドームが特徴的なルーテル派の教会です。「都市の軸」として設計され、海からも街中からも見えるランドマークです。青空に映える白亜の大聖堂が美しい。

<概要と歴史>

  • 元々は「聖ニコラス教会(St. Nicholas Church)」として建てられました。これは当時のフィンランドがロシア帝国の支配下にあり、ロシア皇帝ニコライ1世にちなんで命名されたためです。
  • 1917年のフィンランド独立後に「ヘルシンキ大聖堂」と改称されました。

<建築的特徴>

  • 設計は、19世紀フィンランド都市計画の基礎を築いたドイツ出身の建築家 カール・ルートヴィヒ・エンゲル(Carl Ludvig Engel)。
  • フィンランド建築史の初期を代表する作品であり、近代北欧都市の始まりを象徴する建物です。
  • 建物は厳格な対称性と幾何学的構成を持ち、古代ギリシャ・ローマ建築の影響を色濃く受けた新古典主義様式。
  • 外観は白を基調とし、中央の大ドームを囲む4つの小ドームが均衡を保っています。
  • 12体の使徒像(ブロンズ製)が屋根の上に立ち、ヘルシンキ市を見守るように配置されています。北欧では珍しい外装装飾です。

大聖堂の大階段に座っていると「ヘルシンキにいる!」ことを感じられます。地元の人、観光客、様々な人がここに座ってい思い思いに過ごしているのが、定番の風景です。

正面に広がるセナーティ広場(Senaatintori)には、アレクサンダー2世(ロシア帝国の皇帝、在位は1855年〜1881年)の像が立ち、観光客の写真スポットとなっています。大聖堂の周りにを取り囲むように歴史的な建物も並んでいます。

今回大聖堂が改装中だったのが少し残念。広場には、昨年4月にはなかった「HELSINKI」の文字モニュメントが登場していました。この広場では、冬の定番クリスマスマーケットが開かれるそう。夏には、露天カフェがいくつか軒を連ねていてカフェを楽しむ人々の姿が伺えました。違う季節に訪れると異なった大聖堂の顔、雰囲気を見ることができますね。

ウスペンスキー寺院(Uspenskin katedraali / Uspenski Cathedral)

ヘルシンキを象徴するもう一つの大聖堂です。高台にそびえたつ赤レンガが美しい。雪を被った姿も美しかったですが、青空にも映えます。

<概要と歴史>

  • 北欧最大の東方正教会の教会堂です。
  • 「ウスペンスキー(Uspenski)」とは、ロシア語で「聖母の被昇天(Dormition)」を意味します。つまり、正式名称は「聖母被昇天大聖堂」。
  • 建設当時のフィンランドはロシア帝国の自治領であり、この寺院はロシア帝国の存在感を象徴する宗教建築として建てられました。

<建築的特徴>

  • 設計を担当したのはロシアの建築家 アレクセイ・ゴルノスタエフ。彼はビザンティン様式の復興に力を注いだ人物でしたが、完成を見る前に亡くなり、弟子たちによって竣工されました。
  • 赤レンガのドームが印象的な外観は、緑の屋根と金色のタマネギ型ドーム(オニオンドーム)が特徴。全部で13基のドームがあり、これはキリストと12使徒を象徴しています。
  • 建物はビザンティン・ロシア様式を基調とし、丸みを帯びたアーチ、複雑な装飾、そして金の輝きが印象的です。この金色ドームの金箔は、本物の金が使用されています。

昨年4月に訪れた時と違って、やはり夏は観光客がたくさん。団体も次々と到着していました。前回は中に入って静かな空間で室内の装飾を楽しみましたが、今回は、人込みを避けて建物回りをゆっくり回って過ごしました。

高台に建つ寺院周りから、眺めるヘルシンキの街並みも格別です。残念なことに、こちらでも寺院の下に広がる「トーベ・ヤンソン公園」周辺は大規模工事真っ最中でした。

りんりん
りんりん

ヘルシンキの街を象徴する2つの大聖堂。
白と赤、静寂と荘厳、そして西と東――その対照の中に、この街の歴史と美しさが息づいています。

Have a nice trip

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