ストックホルムの街の中心からほんの少し足を延ばすだけで、驚くほど自然豊かな風景に出会える場所があります。その場所のひとつが、ロングホルメン島(Långholmen)。

この日は、ストックホルムで一日過ごすことができる最終日、観光地の喧騒を離れてゆっくりできる場所を求めていました。まずは、高台の展望スポット、スキナリヴィークスベリエット(Skinnarviksberget)での絶景を早朝から堪能した後、湖岸沿いの道へと下り、ゆっくりと対岸の眺めを楽しみながら歩き、ロングホルメンへと向かいます。
メーラレン湖(Mälaren)湖岸沿いを歩く
メーラレン湖(Mälaren)湖岸沿いの遊歩道はのんびりと散策するのにぴったり。水面に反射する光がきらきらと揺れ、時折ベンチに腰かける人の姿や、ジョギングする市民の姿が見られます。観光客はほぼ見かけません。歩みを進めるたびに対岸の街並みが少しずつ表情を変え、街の喧騒から切り離された静かな時間が流れます。

橋を渡ってロングホルメン島へ

しばらく歩くと、湖を横切る小さな橋に出会います。その橋を渡った瞬間、ちょっとした別世界に来たような穏やかな空気に包まれます。ここがロングホルメン島。かつては刑務所の島として知られていましたが、今では豊かな緑にあふれる市民の憩いの場となっています。

緑と花に出会える島


島を歩いて出会うのは、整えられすぎていない自然な庭や、道端に咲く色とりどりの花。大きな公園のようでありながら、どこか家庭的で素朴な雰囲気が。芝生の上で寝転ぶ人、犬と散歩する人、ベンチで読書にふける人。ローカルな暮らしのリズムを感じることができます。

ブログで知ったガーデンカフェを目指して歩いていたのですが、その途中でもひっそりと森の中にある小さなローズガーデンに出会ったり、家族経営のカフェのオーナーがおばあちゃんから受け継いだ庭を手入れしているのに出会ったり、小さなうれしい花と緑のサプライズがありました。詳しくは、こちらから ⤵

ローカルに人気のこじんまりしたビーチ
湖岸を歩いていると、小さな砂浜にたどり着きます。ここはローカルに人気のこじんまりしたビーチ。「近所の人がふらっと泳ぎに来る」ような素朴さがあります。水辺では子ども達が水遊びをし、大人たちはタオルを敷いて日光浴。ストックホルムの短い夏の日差しを体いっぱい浴びて楽しむローカルの人たちの様子が微笑ましい。カヤックなどのウォータースポーツを楽しむ人の姿も。
刑務所ホテル?!歴史を伝える博物館

ロングホルメン島のユニークな見どころのひとつが、かつての刑務所を利用したホテル。そして併設されているのが、「ロングホルメン監獄博物館」。そちらでは、19世紀から20世紀にかけて実際に使用されていた独房や収容者の生活を知ることができます。展示室には当時の資料や写真が並び、島が持つ歴史の一面を垣間見ることができます。展示の写真や映像には、リアルでシュールな場面も多々ありました。

その刑務所を改装して作られた「ロングホルメン監獄ホテル」。外観は重厚で歴史を感じさせますが、内装は快適にリノベーションされ、宿泊客は「独房だった部屋」に泊まることができます。とはいえ暗い雰囲気はなく、北欧らしいシンプルで明るいインテリアが施されていてユニークな滞在体験が味わえます。でも、私としては、宿泊するのはちょっと💦・・・かな。


館内を見学中に、刑務服を思わせるボーダーシャツ制服着用のホテル従業員に出会いました。この日は、持っていたボーダーTシャツを着て来なくてよかった~。

街と自然が溶け合う場所
こうしてロングホルメン島を歩いていると、ストックホルムという街の魅力が改めて浮かび上がってきます。都市の中心からほんの少し歩くだけで、湖と緑に包まれた空間に出会えること。そしてその空間に、歴史の重みやローカルな暮らしが息づいていること。

そしてまた行きに渡った橋とは違った橋を渡って、しばし歩いて最寄りの地下鉄駅へ。

この日は、ローカルの人たちとの一期一会の会話もあり、ストックホルムのローカルな生活を感じ楽しむことができ、スペシャルな心に残る一日となりました。

Have a nice trip ❢