
北欧デザインと自然が調和する街、ヘルシンキ。
その中でも「岩」「木」「光」という自然の要素を融合し、静けさと美しさを体感できる3つの教会があります。それぞれの建築様式や素材、雰囲気は独自のもので、どれ一つとっても訪れる人に深い感動を与える名所です。
昨年4月末、雪に覆われた「テンペリアウキオ教会(岩の教会)」と「カンピ礼拝堂(木の教会)」を訪れました。その時の心の奥まで静寂に包まれるような感動を味わいたくてこの2つの教会を再訪しました。そして今回はあらたに「光の教会」へも足を延ばしました。どの教会もそれぞれの個性を持ち、ヘルシンキならではの建築の美しさ、静けさと優しさを感じさせてくれます。


ヘルシンキを訪れたなら、この3つの教会を巡る「静寂の旅」をぜひ。
岩の教会 テンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko)

岩盤をくり抜いて造られた、まさに「自然と共にある教会」。別名「ロックチャーチ(Rock Church)」と呼ばれています。一歩中に入ると、銅のドームと岩肌が織りなす荘厳な空間が広がり、天窓からの柔らかな光と反響する音が心に響きます。石・銅・ガラスの調和が美しく、「自然と人間の共存」を象徴する建築です。


教会としてだけでなく、コンサートホールとしても人気だそう。今回は叶いませんでしたが、パイプオルガンの演奏をここでいつか聴いてみたいと思いました。
2階から見下ろす教会全体の眺めも圧巻で、その美しさに見飽きることがありません。
さらにおすすめなのが、意外と知られていない教会の外壁上にある岩の上のスペース。昨年は雪で上がれませんでしたが、今回は晴天のもと、静かなその場所でゆっくり座ってその独特の雰囲気を楽しむことができました。


<アクセス> ヘルシンキ中央駅から徒歩約15分。またはトラム2番・3番線で「Sammonkatu」停留所下車すぐ。
木の教会 カンピ礼拝堂(Kamppi Chapel of Silence)

賑やかな市街地の中心、カンピ地区の一角に静かに佇む「静寂の教会」。宗教に関わらず、誰でも自由に訪れることができる空間です。ヘルシンキの中心街にありながらその静けさは圧倒的。昨年の大雪の日、この教会で過ごしたひとときは忘れられません。心の奥までシンと静まりかえるような静寂に包まれました。
今回は夏の訪問。観光客も多く、入場料が必要になっていましたが、外から眺め、建物の木肌に触れるだけでもその存在感に癒されました。


<アクセス> ヘルシンキ中央駅から徒歩約5分。カンピ・ショッピングセンター前、ナリンッカ広場内。
光の教会 ミューレマキ教会(Myyrmäen kirkko)

白を基調とした空間に、天窓から柔らかく差し込む光。天井から吊るされた数々のライトがまるで光のアートのよう。建築家ユハ・レイヴィスカが手がけたこの教会は、「光の中で祈る」ような神聖な空間です。


朝の開館一番に訪れた私は、誰もいない教会で心静かにその美しい空間を存分に味わうことができました。階段を上がった高い位置から眺める光景も美しく、思わず一人で歌ってしまったほど。自分の声が優しく響くその空間は、まるで光と音に包まれるような癒やしの時間でした。



ヘルシンキ中心部から少し離れていますが、観光客も少なく、知る人ぞ知る名所。
時間をとって訪れる価値ありです。ぜひ朝一番に訪れてみてください。
<アクセス> ヘルシンキ中央駅から近郊電車E・I・P線で約20分。「Myyrmäki」駅下車、徒歩約5分。

岩・木・光――それぞれのアートが紡ぐ静寂の空間。圧倒的な静けさの中で自分自身を見つめ、光を灯してくれる癒しのひとときになるはずです。
Have a nice trip ❢
